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寿也が可愛い過ぎるせいで人生が狂ってしまった人間の生態日記です。 ブログタイトルの元ネタは神海英雄先生の『LIGHT WING』です。
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週末は台風12号が四国~東海地方に上陸する予報が出ており、目下気がかりなのは週末の9月3日18時~4日9時まで伊豆の修善寺で開催される、日本最大の野外レイヴ【METAMORPHOSE】のことであります。
【メタモ】は例年、開催間近に台風が接近しますが直前に回避して、開催中は晴天に恵まれるのが多いのですが、今年も奇跡は起きるのか!?(@_@;)
大雨を免れてもプラネットステージは地面がぬかるんでるだろうから、雨装備で行った方が良さそうですな…(-_-;)
ちなみに私のケータイの待ち受け画面は、ネットの有志が作成してくれた【メタモ2011】のタイムテーブルです(^_^)v

ぼちぼちとサイトのコンテンツの見直しを計っています。
まずは《参加予定イベント》の項目を消して、《管理人》の所に次回参加予定のイベントを書くようにしました。
日記で何回も申し上げておりますが、参加出来るイベントはコミケしかないので淋しい限りです(/_;)
本当は、《萌えの傾向と対策》も《管理人》の所に含めたかったのですが、リバ好きだのNTR好きだの吾郎が清水さんと結婚して寿也が捨てられるの美味しいですハァハァなんてのは、かなり特殊な属性らしいので(汗)この注意書きは残しました。
自分は雑食な方ですが、だからといって地雷がない訳じゃない(実は、吾郎が寿也を捨てるのはアリですが、寿也が吾郎を捨て別の男(←女じゃないんだ(^_^;) と幸せになるのは苦手だったりします。 寿也が不幸になるのはウマーだけど、吾郎が不幸になるのは嫌、という矛盾)ので、注意書きは書き手・読み手の双方が幸せになる為にも必要ですよね。
まぁ、私の話を読んで下さっている方は、今更注意書きなど必要のない猛者揃いとお見受け致しますが(笑)。
だって、このサイトで唯一まともに完結している小説は、寿也が実の父親にレイプされる近親相姦モノだもん(笑)。

明日は19時から0時までUstreamのクラブ音楽番組【DOMMUNE】での【メタモ】特集を見て、翌日は【メタモ】に行って、と、サイトがほったらかしになるので、久し振りに昔のネタを投下します。


simg156.jpg
2008年9月28日のコミックスパークで配布したペーパーに掲載した、その日の新刊「スーパースター」の没ネタです。
印刷状態が汚くて申し訳ございません<m(__)m>


拍手有難うございました!
続きよりお返事です ↓

拍手[1回]

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本日の日勤が終わって、これから夜勤に備えて仮眠に入る訳ですが、その前に30分ほど時間が空いたので日記を更新がてら、昔のペーパーに載せた小説を投下しようとワードに打ち込んでたら1時間30分もかかってしまった…~゜・_・゜~

てな訳で投下します。
これは2008年9月28日の【MAJOR】プチオンリーで配布したペーパーに載せた小説です。
自分はプチオンリーに合わせて【MAJOR】でサークル活動を始めました。
書いた当時の原作では吾郎の血行障害とかをやっていたのだと思います(立ち読みだったので記憶があやふやですが…(^_^;)
タイトルの「シュチェチン」は電気グルーヴの曲名です。
その年に電気の8年ぶりのアルバム『J-POP』が出たのが嬉しかった&【MAJOR】で4年ぶりに同人(二次創作)に出戻ったので、『J-POP』の全タイトルで話を作ろう! と意気込んだ作品のひとつでした。
結局、全曲制覇には至りませんでしたが戦績は以下の通りです。

電気グルーヴ 『J-POP』 収録曲一覧
  「完璧に無くして」……未発表
  「エキスポ ヒロシマ」……未発表
  「ズーディザイア」……未発表
  「いちご娘」……未発表
  「半分人間だもの」……未発表
  「モノノケダンス」……『君の味~Taste of You』に収録
  「アルペジ夫とオシ礼太」……ペーパーに掲載
  「少年ヤング」……ペーパーに掲載
  「スーパースター」……新刊のタイトル
  「地蔵」……『Romantic Time slipper』に収録
  「シュチェチン」……ペーパーに掲載
  「リンギンベル」……何も思い付かなかった(・o・)

「リンギンベル」が、ない頭をどれだけ絞っても全く何も浮かばなかった為、この企画はポシャりました(-_-;)
曲はかなり好きなのですが…上手くいかないものです(@_@;)
未発表のネタの内容も完全に忘れてます(失笑)
思い付いたら速攻で書かないと、片っぱしから忘れていくので(滝汗)。

前置き長くてすみません(・.・;)
それではお暇つぶしにどうぞ<m(__)m>

 

 



シュチェチン
 
 
 
携帯電話がメールを受信したので僕は画面を開いた。
送信者は僕が週に一度、祖父母の住んでいた実家の手入れを頼んでいるハウスキーパーの吉田さんだった。
 
―――佐藤寿也様。
―――玄関先の草むしり終わりました。
―――それから、お手紙が届いていたのでご自宅に送ります。
 
簡素な文面に、だけど僕は嬉しさを隠し切れなかった。
手紙が来た。 それだけのことで子供のように喜べる自分を僕は客観的に捉えて呆れる一方で、無理もないと自分に言い聞かせてもいた。
きっと心はその頃に戻ってしまっているのだから。
 
 
翌日の午前中には吉田さんが転送してくれた手紙が僕の自宅マンションに届いていた。
封筒の裏に書かれた差出人を確認するまでもなく、その筆跡だけで僕は相手を特定でき、そして昨夜一晩で膨れ上がっていた期待が空振りに終わらなかったことに安堵した。
変わってないな。
この感想が、幼い頃からの彼への印象であり恐らく僕は今後も彼に接する度に同じ評価を下すのだろう。
まぶたの裏に、いつまでも褪せない僕の中の「彼」を思い描きながら僕は手紙の封を切っていた。
 
白い封筒の中には藁半紙が一枚入っていた。
質の悪いペンを使ったのだろう、文字は所々インクが滲んでいる。
そしてペンのせいだけとは言い切れない、お世辞にも上手とは言えない字で手紙は綴られていた。
 
―――寿也、元気か?
―――俺は今シュチェチンって町にいる。
―――すっげぇキレイなとこだぜ!
 
文章はこれだけ。
僕が前日一晩かけて膨らませた期待の十分の一にも満たない素っ気なさだが、まぁこれは彼に期待を寄せた僕が馬鹿だったと諦めた。
それにしたってもう少し、近況を書いてくれてもいいじゃないか……。
「本っ当、変わってないなぁ吾郎くんは」
悪筆に目を落としたまま僕は脱力した。 にもかかわらずどうしてか、僕の口元はほころんでいた。
 
彼―――茂野吾郎は僕の幼馴染だ。
10年くらい前までは現役のプロ野球選手、それもアメリカのメジャーリーグに所属し数少ない日本人メジャーリーガーとして活躍もし、所属チームの優勝の立役者になるなど実績はなかなか華々しいものだった。
それなのに、所属チームがワールドチャンピオンになった翌年に彼は現役を引退した。
当時彼は23歳、故障もなく球威が衰えた訳でもない、野球選手としては絶頂期にあった彼の突然の引退劇は、日米の野球ファンとマスコミを騒然とさせた。
僕もその一人だったので電話で彼に真意を問いただしたところ、彼の返答はこうだった。
 
「俺、やりてぇこと見つけたんだ」
 
 
「やりたいこと?」
「なぁ寿、世界に国がいくつあるか知ってっか?」
「な、何だよ急に…。
…この間のオリンピックは204ヵ国参加だったっけ…だから…」
「いや、もっとだよ! 数え切れねぇほどあるんだぜ!?
でもよ、その中で、野球をやってる国なんて、20もねぇんだってよ!」
「へぇ、それ調べたんだ、君? 凄いじゃない。
…それで?」
「だからぁ! 行って教えてやるんだよ! 野球!」
「………誰が?」
「ったく…おまえ頭いい癖に抜けてんなぁ~。
俺がだよ!!」
 
 
この会話の翌日には彼は、所属する球団がセッティングした引退会見もすっぽかして出掛けてしまっていた。
 
 
 
野球のない国に、野球を広める為に。
 
 
 
それから彼は時々僕の家に手紙を送るようになった。
半年に一通来れば多いくらいの頻度ではあるけれど。
今の携帯電話は海外でも使えるのだから、携帯を持って行けと彼の家族には口酸っぱく言われているらしいが一向に改善される様子はない。
彼の気が向いた時に、彼から手紙や電話が届く。
僕は尋ねたことがある、どうして僕に手紙を送ってくれるのかと。
はっきり言って手紙を書く習慣が彼にあるとは思えない。
電話口の向こうで彼は笑ってこう言った。
 
「時々字を書かないと、日本語忘れちまうんだよ」
 
つくづく彼に情緒を求めては駄目なんだと僕は悟った。
 
 
彼が手紙の送り先に指定するのは、僕が現在暮らすマンションではなく、学生時代に僕が住んでいた祖父母の家だ。
成人するまで僕を育ててくれた祖父母は何年も前に他界しているので今は誰も使っていない。
彼には祖父母の家宛てではなく、僕のマンションに手紙を送るよう催促したこともあるのだがこれも無駄骨だった。
あるいは彼の中でのイメージは、僕の家といえばあそこなのかもしれない。
そう思うと悪い気もしないので僕は訂正を求めなくなった。
僕は週に一度、祖父母の家の手入れを吉田さんにお願いしている。 彼からの手紙の件を抜きにしても、祖父母の家を手放す気は僕にはなかった。
いつか僕に家族が出来たらあの家をリフォームしてあそこに住もうとは思っているのだが今のところその予定もなく、現状維持を続けているのだった。
 
 
「シュチェチン…シュチェチンって何処だよ…」
ぼやきながら僕は携帯電話を開いてネットで調べる。
シュチェチンとはポーランドの北西部にある、西ポモージェ県の県都だった。 ポーランドでは割と大きな湾岸都市だそうだ。
「何処に行こうとしてるんだ?…」
呟いた後になって僕はそれが愚問であると気付く。
多分その答えは彼にもわからないのだろうから。
 
 
計画性のかけらもない彼の生き方だけど、僕は嫌いじゃない。
それどころか、憧れすら感じる。
 
 
実は僕も日本のプロ野球選手として活動していたのだが、昨年現役を退いた。
30代に入って体力の衰えが誤魔化せなかったからだ。
誤魔化しが利くほどプロの世界は生易しいものではない。
第一線を辞した僕は現在、長年お世話になった球団の打撃コーチをさせて頂いている。
テレビ局からは、実況中継の解説者をして欲しいとのオファーを頂いたがお断りした。
解説も面白そうだけど、やはり僕は少しでも現場に近い所にいたい。
それが―――今も何処かの国のグラウンドに立っているであろう彼への対抗心なのかは僕にはわからない。
そんな風に彼と僕の生き方を比べるのは止めたんだ。
 
 
彼がプロの世界を抜け出して、世界中を旅しながら野球のすそ野を広げる生き方を選んだ時、僕は自分の立ち位置について悩んでしまった。
それはかつて、彼が海堂高校を自主退学し、新しい環境に飛び込んで行った、その背中を見送った時にも抱いた思いだった。
 
―――僕はこれでいいのか?
 
彼の生き方を目の当たりにすると、僕はいつも自分の土台が揺るがされるような焦燥感に駆られる。
彼に比べると、あまりにも自分が平坦な道を選んでしまっているのではないかと。
だけど、僕には彼のような生き方はできない。
いや、そもそも彼のような生き方をする必要もない。
野球のない国に野球を広めるという彼の活動は確かに立派だけど、日本のプロリーグでしか成し遂げられないことだってあるんだ。 僕の目指すべき道はそこじゃないか。
そう気付けるまで結局僕は3年も消費した。
人生に、優劣なんてない。
彼は彼の、僕は僕のやり方で野球に関わっていられれば、それでいいんだ。
達観し、苦悩が去ってしまえば悩み苦しんだ日々もいい経験だったと思えてしまうから不思議だ。
 
 
10代の頃は、狭い分濃密な交友関係の中で、傍にいることが友情だとはき違えたこともあった。
友達は、いつも一緒にいて、同じ夢を見るべきで、自分の傍から離れていくのは裏切り行為だと思い込んでいた。
相手を自分と同化することで僕は安心感を得たかったのかもしれない。
だけどそれだけが友情じゃないと、僕に教えてくれたのも彼だった。
僕と彼は幼馴染で友達で、お互いにずっと野球をしていたけれど、同じチームで過ごした年月は、長い野球人生の中でも一割に満たない。
時々こんな風に手紙や電話で遣り取りをしているけれど、彼自身にはもう10年以上も対面していない。
そして、この先も。
多分、僕と彼は一生会わずに終わるんだろう。
それでも僕は胸を張って言える、彼は僕の一番の友達だと。
何処にいたって、何があったってそれは変わらない。
顔を見なくても、言葉を交わさなくても。
僕らの友情は揺らがずに続いていると僕は信じている。
 
 
「…君はそう思ってないかもしれないけどさ」
藁半紙の手紙を封筒に戻しながら僕は小さく呟く。
いいんだ、見返りが期待できる人じゃないってことも承知の上だ。
それでもいいと僕が思えるんだから恐らくこれが正しい選択肢なんだ。
これ以上言葉を連ねると言い訳がましくなりそうなので僕は切り上げて、届いた手紙を収納ケースにしまう。
溜息をつくと、僕は窓から見える空に目を向けていた。
「ポーランドって、向こうかな」
何となく方角を定めて僕は遠くの国にいる友達に想いを馳せる。
話したいこと、聞きたいことは沢山あるけれど今は止めておくよ。
君も僕も元気で、野球を続けてる。
それで充分だよね。
 
 
性格がまるで違う君と僕を結び付けてくれたように、野球は何処へ行っても君とその国の人々の懸け橋になってくれる筈だよ。
だから僕は君の心配をしたことはないんだ。
大丈夫、君は何処ででもやっていけるさ。
目を閉じれば見知らぬ国で、君と子供たちがグラウンドを走り回っている姿が容易く想像できる。
きっと君は子供みたいな明るい笑顔を浮かべているんだろうな。
 
 
そう考えている内に僕も子供に戻ったような笑みを知らぬ間に浮かべていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
【 終 】



拍手[6回]

今日は休日でしたが恒例の会社の会議がありまして午後はまるまる潰れてしまいました。
今は夜の10時ですが、風呂に入ったら原稿に着手します。
この週末は仕事の傍ら原稿を書きます。
小説本編と、合同本の表紙の絵と、余裕があったら新しいトップ絵も書き上げようと思っていますので今度こそ(苦笑)更新が途絶える予定です(^_^;)
寿也が受じゃないからかなり苦戦するのではないでしょうか(汗)。
でもギャグだから、ノリノリであっという間に書けるかもしれないし…自分でも予測がつきませんが、しばらくお暇するのは確かです。

その間のお留守番ネタとして、2009年3月15日春コミのペーパーに載せた小説を再掲載致します。
自分は小説も、イベントが終わるとデータを消去しているのでここに載せるにあたり、全文を打ち直す羽目となり非常に疲れました(-_-;)
つかそんな時間があったら原稿やれよ、って話ですよねウフフフ…(';')

小説のタイトル『I Only Want To Be With You』は、ベイ・シティ・ローラーズの曲名で、邦題は『二人だけのデート』と申します(*^_^*)
タイトルだけでわくわくしたでしょ?(笑)
しかし皆様、驚くのはまだ早いです。 歌詞はもっと凄いですから(笑)。
自分はこの曲の歌詞を見て「ちょww 寿也のテーマソングじゃんwww」と驚愕してこの小説を書きました。
実は『二人だけのデート』はベイ・シティ・ローラーズのオリジナル曲ではなく、元はダスティ・スプリングフィールドという女性が歌っていたもの。
だから歌詞に《I fell into your open arms(君の腕の中に落ちていく)》という、男が歌うにはヘンテコな部分がある、と解説サイトにありましたが…
腐女子には都合が良かった(死)
歌詞の全文(原文および日本語訳)はwww.eigo21.com/03/pops/ionlywant.htmで読めますので、ご存じない方は是非! ご一読下さり、私と同様に目玉が飛び出る思いをして頂きたいと思います(笑)

小説の舞台はWBC編です。
それではお暇つぶしにどうぞ<m(__)m>






『I only want to be with you』
 
東京シャイアンズ二軍寮の、自室でくつろいでいた僕は携帯電話に呼ばれた。
通話ボタンを押す前に、掛けて来た相手の名前を確認した僕は思わず目を瞬かせていた。
(吾郎くん?)
僕の幼馴染で野球友達の茂野吾郎だった。
彼は高校を卒業するなりアメリカへ渡り、マイナーリーグのメンフィスバッツに入団して今年、リーグ優勝の立役者となる活躍を収め、昨日帰国して来た。
その彼は、ほんの2時間前に僕の所にも顔を出してくれた。
アメリカでの暮らしや、日本のプロリーグで活躍する同期の話など、充分に語らって彼とは別れたと思ったのだが…。
(何か言い忘れたことがあったのかな?)
僕が通話ボタンを押すなり、受話器の向こう側から声が飛び込んできた。
「おう寿! 俺らにも代表入りする可能性はあるってよ!」
一瞬の間で、僕は彼の話の主旨を推測する。
代表入り? ああ、さっき話した、野球のワールドカップのことか。
あれ? でも、確かに吾郎くんは凄く興味を持ったけど「俺には関係ねーな」とか言ってたよな。
実際、彼の成績では日本代表に選出されるには厳しいし。
「どういうこと?」
僕が聞き返すと吾郎くんは何故か得意げに話してくれた。
「ああ、代表メンバーっつっても、ギリギリまでケガ人や不調な選手は入れ替えがあるってよ!
1月にある代表メンバーとの練習試合で活躍すれば、そのチャンスがある!
代表監督の目の前で猛アピールすんだよ!!」
「練習試合?」
寝耳に水の話に僕は若干戸惑う。
さっきまで、野球のワールドカップが開催されることすら知らなかった彼が、どうして1月に練習試合をするなんてマスコミ未発表の情報を得たのだろうと疑念が湧いたが、僕は自己解決した。
吾郎くんのお義父さん―――茂野英毅氏は、代表チームの投手コーチとヘッドコーチを兼任している。 情報源はそこだろう。
僕は自室のベッドに腰を下ろして電話を受けているのだが深く座り直した。
「で、でも、まずそれに選ばれないと話にならないんじゃない!?」
吾郎くんは既に、自分と僕が代表メンバーとの練習試合を出来ると思い込んでいる様子だ。
そんな訳ないじゃないか、と思いとどまらせる意味も兼ねて僕は彼に告げた。
代表入りを狙う人間がどれくらいいると思ってるんだ吾郎くんは。
その誰もが一流選手なんだぞ。
海堂のセレクションとは違うんだからさ。
「心配ねーよ」
間髪入れず吾郎くんの声が返って来た。
「プロの若手を召集したいらしいけど、キャンプ前だけに消極的な選手が多いらしい。
だから志願すれば俺やおまえクラスなら問題ないってよ!」
吾郎くんの声が落ち着き払っているのは多分、その審査基準を茂野英毅氏から聞いているからだろう。
実際に審査する人間が身内にいるなら心強い、と安堵しかけた僕は、また別の懸念に気付いた。
「へえ……
でも、あくまでケガ人や不調な選手が出た場合の話だよね……」
言うまでもなく、代表選手はプロの世界に何年も身を置いている。
第一線で、常に全力を出すことを要求されている彼らは、プロになって1年目の僕らより遥かに自己管理に長けている。
そう都合よく、故障をきたす人間が頻出する筈ないよ。
「…そんなことで本当に代表に……」
僕の言葉は吾郎くんの声に遮られた。
「ダメ元だろ!」
 
 
 
…あ…。
 
 
 
懐かしい感覚に見舞われて僕は瞠目した。
 
 
 
力強い彼の声がどんどん僕の耳に飛び込んでくる、洪水のように。
「たとえ代表入りはできなくったって、日本代表相手に力試しできるんだぜ!?」
彼の言葉は、分厚い雲のように何層にも張り付いていた不安を僕の心から剥ぎ取っていく。
「大リーガーの鈴木や野呂と対決できるだけでもワクワクすんだろ!?」
そして彼の言霊は実体のない手のひらに形を変えて、臆病な僕の魂を引っ張り上げてくれるんだ。
 
 
 
いつだってそうだった。 出会った時から。
 
 
『これで一緒にキャッチボールやろーよ!!
おもしろいよ!!』
 
 
吾郎くんは僕の手を引っ張って歩いていく。
 
 
『金の問題ならあきらめんのはまだはええ!!
あいつが海堂に行かなくて誰が行くんだよ!』
 
 
僕が立ち止り、進めないと判断した道を、彼は物ともせず突き進んでいく。
 
 
『ダメなんだよ、俺はまだマニュアル野球に負ける訳にはいかねーんだよ』
 
 
躊躇する僕の手を掴んで。
 
 
『この試合で結果を出したら―――
俺は自分の手で引いたレールの上を、自分の足で駆け上がって行きてぇんだ』
 
 
いつも彼は、僕をその先へと連れてってくれる。
 
 
 
 
 
―――今、また君は僕の手を握ってくれたね?―――
 
 
 
 
 
自然とこみ上げる笑いが僕の肩を揺らしていた。
「フフフフ…」
「な、何だよ!?
何がおかしいんだよ!?」
受話器の向こう側の声が不機嫌を訴える。
「いや…吾郎くんは相変わらずだなぁと思ってさ」
喜びを込めて僕は相手に伝えたけど、彼には通じてないだろうな、別にいいけど。
改めて息を吸い、僕は言葉を続ける。
「いいよ、確かにこんなチャンスは滅多にないしね、
僕も志願しよう」
電話口で吾郎くんがガッツポーズを取る気配がした。
僕は声を出さずに笑うと更に言葉を継ぐ。
「久々にバッテリー組めるかもしれないね!!」
ここで吾郎くんの特大なコメントが返ってきた。
「おっしゃあ! ふたりで日本代表をコテンパンにしちまおーぜ!!」
「あはは」
調子に乗り過ぎである彼の発言に対しても、今の僕は素直に笑ってしまっていた。
 
 
 
電話を終えて、携帯電話を閉じながら僕は小さい溜息を漏らしていた。
(…駄目だなぁ…)
反省する。 またしても、吾郎くんの後押しがなければ一歩が踏み出せなかった自分を。
自分の人生は自力で切り開いてきたつもりだったけど、振り返ってみれば幾度とあった人生の岐路で、留まる僕を導いてくれたのは吾郎くんだった。
彼の力添えがなければ進めない僕は人間として未成熟だと思う。
これじゃ駄目だとわかってる。
それなのに。
 
 
携帯電話をベッドに投げた後も、僕はしばらく、僕の手を握ってくれた吾郎くんの手のひらの心地良さに酔いしれてしまっていた。
 
 
 
 
 
【 終 】










拍手[7回]

夜勤明けて13時に布団に入り、17時30分に目が覚めたのでPCに向かったら…

21時には、山田一郎×寿也の小説が書き上がりましたV(^-^)V

相変わらずエロ小説を書く速さだけは日本代表候補(笑)
内容はともかく、エロ小説を書く速さだけは自慢していいですよね?(^O^)
(とは言え、たった8ページですがf^_^;)

で、今日もこれから夜勤なんですけど変に時間が空いたのでブログを更新してみました(`∇´ゞ
拍手ありがとうございます(>_<)
申し訳ございませんが、レスは後日に致します本当すみません(∋_∈)

そしてお留守番として2009年春コミのペーパーに載せた漫画を置いて行きます。
これはその日の新刊だった【かっこいいジャンパー】の没ネタっつーか、先に思い付いたのはこちらでしたが健全ギャグに相応しくないので没にした代物です。

話は変わって今日から喉が痛いのですが…
このブログをご覧下さっている方は、どなたも同情なさらないでしょうね(^。^;)





拍手[4回]

昨日は、ブログを更新してから春コミ原稿するぞ(^u^)
と思ってたらブログ書くのに3時間もかかってしまい、原稿が殆ど進まなかったので流石に反省しました。
しかもブログの内容が、どーでもいい作者のお遊び日記だもん(-"-)
3時間もあればかなり原稿を進められただろうに…まさに時間の無駄遣い<`ヘ´>

それなんで、ブログの更新頻度を下げます(^_^;)
次に更新するのは山田一郎×寿也の小説を書き上げてからだ! と自分に宣誓してちょっとお暇を頂きます。

その間、何もないのも申し訳ないので昔のペーパーに載せた漫画を置いておきますね。
腐ネタをピクシブに投稿するのはどうにも抵抗がありまして、かといってサイトのコンテンツをこれ以上増やしたくないので、中途半端な昔の作品はこのブログに落とすことにしました。
宜しくお願いします<m(__)m>

simg095.jpg


これは2009年3月15日、2年前の春コミで作ったペーパーに載せた漫画です。
表紙漫画の方はピクシブに投稿してあるので(ただしケータイの写メで撮ったのですっげー見辛いですが^^;)そちらもご覧頂ければ光栄です。















ちょっとパラ見したら2年前の春コミのペーパー、表紙漫画に裏表紙も漫画、ギャグ漫画が4ページに小説1本載ってやがる…
昔の自分に敗北orz
つかコイツ(2年前の私)、どんだけ暇なんだorz

拍手[3回]

プロフィール
HN:
浜本みん
性別:
女性
職業:
変態性欲者の弟子
趣味:
寿也にエロいことをする
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