忍者ブログ
寿也が可愛い過ぎるせいで人生が狂ってしまった人間の生態日記です。 ブログタイトルの元ネタは神海英雄先生の『LIGHT WING』です。
[368]→ [367]→ [366]→ [365]→ [364]→ [363]→ [362]→ [361]→ [360]→ [359]→ [358]→
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

やっと完成しました…(;>_<;)
バレンタインデーssの2本目です。
このssも、吾郎と寿也は中学3年生です。
中3の2月14日頃って、受験前の家庭学習期間で授業がなかったような気がしました。 が、この話では学校に通ってます(@_@;)
現実から目を反らして読んで頂けると大変有難いです(爆)

*****

放課後、横浜市にある三船東中学校の正門付近は下校する生徒で賑わっている。
生徒の一人、茂野吾郎も授業が終わったので、正門を抜けて家路を歩いていた。
他の生徒と吾郎には、異なる部分があった。
彼の隣に連れ立つのは三船東中学の生徒ではなかった。
市内の別の中学校に通う吾郎の友人の名は佐藤寿也という。
寿也は夏休みに入る前から、自身の通う友ノ浦中学校の帰りに吾郎のいる三船東中学校へ赴いていた。
二人は共にプロの野球選手になる為、切磋琢磨する間柄だった。
一緒にトレーニングをするようになってた当初、二人は互いの家の中間にあるバッティングセンターを利用していたが、設備面で最も優れているのが吾郎の自宅だと判明してからは、寿也は毎日吾郎の家に寄っている。
吾郎を育てる義理の父親はプロの野球選手である。
彼の自宅のトレーニングルームは、地元のバッティングセンターでは投資出来ない高額な最新機材が揃っていた。
かくして本日も、吾郎は授業が終わると校門の近くで寿也の到着を待ち、一緒に帰っていた。

吾郎の家までの道すがら、寿也はいつもより肩を落として歩いていた。
「はぁ…」
吾郎の視線は自然と友人に向く。
いつもに比べると、寿也の顔色もいささか暗かった。
「どうしたよ? んな間抜けな声出して」
声をかけると、寿也が疲労の滲む瞳を吾郎に向けた。
「誰が間抜けだよ。
…君は気が滅入らないの?」
疲れ切った目線が、吾郎の手元まで下がった。
吾郎は通学時、ショルダーバッグを袈裟懸けにしているが、本日はそれだけでなく、大判の紙袋を右手に持っていた。
寿也が問いかけると、吾郎はニヤリと頬を緩ませた。
「全~然。
つか何で滅入るんだよ? 普通逆じゃね?
俺らには無縁な話だけどな、モテねぇ野郎共は1個貰う為に、涙ぐましい努力してんだぜ?」
吾郎も視線を寿也の手元に落とす。
寿也の両手にも、大きな紙袋が握られていた。
「羨ましいよ」
寿也の顔がますます陰った。
「名前も知らない人から、欲しくもない物を押し付けられる苦労を知らずに済むんだからさ」
吾郎は目を丸め、ぎこちなく瞬きを繰り返した。
「寿君、随分と今日はご機嫌ナナメですけど…。
…俺、何かしたっけ?」
吾郎は何故か、自分が叱責されている気分になり焦りを感じた。
「機嫌が悪いんじゃないよ。
勿論、貰えるのは凄く嬉しいよ。 有難いと思ってるさ。
けど、その後のことを考えるとね。
気が滅入らないかい?」
「あ~、食い切れねぇってこと?」
呑気な答えを吾郎が返すと寿也は彼をジロリと睨んだ。 瞬時に吾郎は肩をすくめる。
「違うよ、お返しのことだよ。
バレンタインデーにチョコを貰ったら、来月のホワイトデーにお返ししなきゃなんだぞ。
まさか吾郎君、知らないなんて言わないよね?」
寿也は言い終えると相手が持つ紙袋の中身をじっと見る。
そこには大小様々な、可愛らしいラッピングの施されたチョコレートが詰め込まれていた。

寿也の言を聞くなり、吾郎の表情は気楽なものになった。
「な~んだ、お前、んなこと気にしてたんかよ?」
吾郎は顔を進行方向に直すとクスリと笑った。
「い~んだよ、こんなん、渡した奴は、それで満足したんだからよ。
ハナっからお返しなんて期待しちゃいねぇ。
むしろ、返す方が迷惑なんじゃねぇの? 空気読めてねぇってさ」
「そういう訳にはいかないよ」
寿也は不服げに唇を尖らせる。
「貰ったからにはお返ししなきゃ、礼儀作法の基本だよ。
なるべくなら貰った品と同程度の物。
相手の嫌いな物は渡せないし、アレルギーとかあっちゃ困るから、それも調べなきゃなんないし。
そもそも、チョコをくれた子の殆どが初対面だから、まずは名前とクラスのリストアップから始めないと。
頭が痛いよ」
ブツブツと語る友人の手荷物の量を横目で確認し、吾郎の顔に冷や汗が浮かぶ。
「…お前まさか、毎年んなことやってんの?」
寿也は吾郎を怪訝そうに見つめた。
「当たり前だろ?
君こそ、まさか毎年貰いっぱなしなの?」
二人は足を止め、互いに「信じられない」という顔つきで相手を見る。
しばしの間、唖然とした吾郎であったが、息を長く吐くような苦笑を漏らすと、紙袋に空きの手を突っ込んだ。
無造作にチョコの一つを取り出すと、紙袋を足元に置き、包装紙をビリビリと破った。
「吾郎君!?」
吾郎の行動に驚き、寿也が声を上擦らせる。 包装紙の破片が雪のように道路に落ちていった。
包装を剥ぎ取ると吾郎は箱を開ける。 中には一口サイズのチョコが4粒入っていた。
「んだよ、箱ばっか豪華で、これしか入ってねぇでやんの」
率直な感想を吾郎は呟いた。
「駄目じゃないか吾郎君! 道路にゴミ捨てちゃ!
それに開ける前は、誰がくれたか確認しないと…」
寿也は吾郎に歩み寄って彼を諌める。
だが、寿也の言葉は途中で遮られた。
吾郎がチョコを寿也の口に放り込んだからだ。
「っ…!?」
舌の上にチョコの甘味と、吾郎の指の感触が広がり寿也は怯んだ。
寿也の口内に指を入れたまま、吾郎は意地悪く目を細めた。
「…美味ぇだろ?」
口の中のチョコが溶けても吾郎は寿也の口内から指を抜かず、それ所か、指の肚で寿也の歯の裏側をくすぐる。
「っ…」
寿也は咄嗟に口を閉じようとしたが、吾郎の指を食いちぎる恐れがあるので、グッとこらえた。
吾郎はしばらく寿也の歯の裏側や、舌の上に自分の指を擦り付けて遊んだ。
その間、寿也は閉じられない口の代わりに目を固く伏せ、眉をひそめて息を殺し、相手の気まぐれが止むのをひたすら待った。

寿也の口内を撫で尽くすと、吾郎はゆっくりと指を引き抜いた。
今度は自分の口を開くと、吾郎は寿也の唾液が残る指をしゃぶった。
「吾郎君っ!!!」
通学路に似つかわしくない大声が辺りに響いた。
声を発した主は首まで真っ赤にしている。
吾郎は小刻みに震える彼を眺めながら、時間をかけて口から指を出した。
「あ~、甘ぇ」
吾郎は更に厭らしく笑って言った。
「…馬鹿っ!!」
またしても場違いな大声が寿也から発せられる。
「小せぇけど、結構イケんな。
なぁ寿?」
「何考えてんだよこんな所でっ!!」
「は? チョコ食っただけじゃん?
他に何があんだよ?」
「~~っ!」
寿也は言葉に詰まり、全身をブルブルと戦慄かせた。
「色んな意味で最低だよっ、君!」
悔し紛れに寿也は怒鳴ったが、吾郎の笑みを崩すことは出来なかった。
「最低? 最高の間違いじゃねぇ?」
「その自信はどっから来るんだよ!?」
羞恥心から逃げるように、寿也は屈むと路上のゴミを拾い集める。
「もう、本当に、誰がくれたかわかんなくなっちゃったぞ。
いいのかい?」
集めたゴミを自分の紙袋の隙間に詰めると、寿也は憮然と立ち上がった。
「い~んだって。
お前以外の奴から貰ったチョコなんて、マジでただのゴミじゃねーか」
治まり始めていた寿也の紅潮が、先ほど以上に濃くなった。
吾郎は笑顔のまま、悪びれることなく話し続ける。
「だってこいつら、下駄箱に入れたり机に入れたりしてよ、面と向かって渡しに来た奴なんざ、5人もいなかったぜ?
つまり、俺に顔を覚えて貰おうって気がねぇんだよ。
《バレンタインに男にチョコを渡す》っつー祭りに乗っかってるだけで、俺と付き合いてぇと本気で思ってる奴なんか1人もいねーよ。
近場にいる男で一番イケメンなのが俺、ってだけでな」
吾郎は足元に放置した紙袋の紐を握った。
「だからい~んだよ、有難く貰っときゃ」
肘を曲げると、吾郎は紙袋を胸元まで引き上げた。
「練習終わったらさぁ、食えるだけ食おうぜ」
吾郎の笑顔に罪悪感は皆無だ。
寿也は答えず、目線を道路に落として強張った表情を保っている。
吾郎は小さく苦笑をこぼすと前進し、寿也の斜め前に立った。 チョコの詰まった紙袋を道路に落として寿也の肩に手を乗せる。 そして、顔を傾けながら寿也の耳元に口を寄せ、囁いた。
「また食わせてやるからよ」
相手の耳がみるみると朱色に変わるのを、吾郎は間近で堪能する。
気が付けば、数センチしか離れていない寿也の瞳が自分に向いていた。 眼差しはきついが、黒目がやけに潤んでいる。
「…本当に、君って最低だね」
同じく距離の近い唇が辛辣な言葉を吐く。
しかし吾郎は、その唇がチョコより甘いことを知っていた。



【終】


*****


この話、思い付いた時は、二人は両想いではなく、寿也の片想いでした。
吾郎にチョコを口の中へ押し込まれた際、彼の指が唇に触れ、寿也が(バレンタインなんて煩わしいだけだけど、たまにはいいこともあるんだな)と密かに幸せを感じる、というオチでした。
(チョコの甘さよりも、吾郎の指の余韻が甘く残った、的な)
ところが、吾郎が寿也の口にチョコを放り込む文を書いたら、寿也の口内を蹂躙したくなったんで、変更しました(爆)。
おかげで話の落とし所を失い、グダグダの果てに強制終了となりました(@_@;)
でも、話の完成度より、寿也にエロいことする方が大切だから…(座右の銘)
私は満足してます(死)



拍手[3回]

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
プロフィール
HN:
浜本みん
性別:
女性
職業:
変態性欲者の弟子
趣味:
寿也にエロいことをする
ブログ内検索
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
忍者ブログ [PR]

[design:Nijiko]