[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
9月21日から体調が芳しくなく、何だろうと思ってたら結局生理の前兆でした。
生理になる5日前から体調に悪影響を及ぼすって、ちょっとヤバいんじゃないかと思わなくもないのですが、病院に行く暇ないから無視です。
10月になってしまいましたが寿也の誕生日ネタ第2弾が出来た(正確には無理矢理書き上げた)のでアップします。
文章が支離滅裂です、ご容赦下さい<m(__)m>
時刻は夜の11時30分を回った。
神奈川県厚木市にある私立海堂学園高校野球部の1年生が暮らす寮では殆どの部屋の電気が消えていた。
どの部員も朝の6時には起床して自主練習に励むからである。
しかしまだ電気が付いている部屋があった。
「吾郎君、いい加減に寝ないと明日起きられなくなるよ?」
穏やかな声でそう告げたのは部屋の主である佐藤寿也だった。
彼の目線の先には、同じくこの部屋の主であり5歳からの幼馴染でもある茂野吾郎がいた。
この寮は1部屋で2名が生活する。
幼馴染であり親友である彼らは幸運にも同室であった。
吾郎は部屋の備え付けのソファーに座り腕を組んでいる。
彼を心配そうに見つめる寿也は2段ベッドの下段に腰掛けていた。
「しつけぇなぁ寿は。
俺は起きてるっつってんだろうが」
そう言いながら吾郎は幼馴染を睨み付けるのだがまぶたは半分ほど垂れ下がっている。
眠気と格闘しているのは一目瞭然であった。
寿也はため息をつく。
「変な意地を張るのはよしなって。
明日のピッチングに絶対に影響が出るよ。
注意散漫になって怪我でもしたらどうするのさ」
「うっせーなぁ。 いいんだよ。
俺に構わずお前は寝りゃいいじゃん」
間髪入れずに反論した相手に向けて寿也は首を振った。
「そんなこと出来る訳ないだろ。
僕の為に夜更かししてるんだから……」
寿也の語気が弱くなる。 彼は申し訳なさそうに視線を吾郎の足元に落とした。
厚木の寮で誰よりも自主練習に励んでいる吾郎は遅くとも夜の10時には寝て朝の5時に起きている。
寮生活を送る前から野球の為に早寝早起きをし、人一倍ハードな練習を好む吾郎にとって夜更かしは大敵であろう。
彼がそうしてまで起きているのは理由があった。
本日の日付は9月8日。
あと25分で、寿也の誕生日である9月9日になろうとしていた。
吾郎の主張は高校生らしからぬ子供じみたものだった。
日付の変わる午前0時ちょうどに寿也の誕生日を祝いたいのだ、と。
寿也に「おめでとう」と告げる為だけに吾郎は睡魔と必死で戦っている。
祝福を受ける側の寿也には全く理解出来ない行動原理であった。
寮の同室で暮らす自分達は四六時中顔を突き合わせている。
おめでとうと告げる機会はいくらでも転がっているではないか。
しかし吾郎は9月9日になった瞬間に告げたいのだと言って譲らなかった。
そのこだわりも寿也には同調出来なかった。
はっきり言ってしまえばどうでもよかった。
告げる時間が午前0時であろうと昼の12時であろうと、歳を取ったという事実は変わらないのだ。午前0時にこだわる必要はまるでない。
寿也はそう言って吾郎に就寝を促したのだが「おめーは全然わかってねぇなぁ!」と怒られて終わった。
吾郎が怒る理由も、自分が怒られた理由もわからず、寿也は匙を投げたい気分になった。
そうではあるが、吾郎が自分の為に無理をしているのはわかるので、先に寝る訳にもいかず彼の無茶に付き合っていたのであった。
9月9日の午前0時となった。
寿也はため息をつくと腰掛けていたベッドより立ち上がった。
「吾郎君。 0時になったよ」
寿也の声に応答はなかった。
代わりにすうすうと小さな寝息が聞こえる。
寿也は音を立てないようにそっとソファーに近付く。
ソファーに鎮座する吾郎は腕を組んだまま眠りこけていた。
相手の正面で足を止めると寿也は苦笑を浮かべた。
「全く……。 だから寝ろって言ったのに。
相変わらず僕の忠告を全然聞かない人だね」
寿也はそう言いながら上体を屈めて吾郎に顔を寄せた。
「だけど、君の気持ちは嬉しかったよ。
有難う吾郎君」
吾郎の耳元で囁くと、寿也は音を立てずに彼の頬へ口付けた。
それから寿也はやはり音をさせずにベッドまで戻り、上段から吾郎の掛け布団を下ろすとソファーで眠る彼の体に優しく掛けた。
【 終 】